第26回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門 正式出品作品
鈴木卓爾監督/ 中沢けい原作 『楽隊のうさぎ』


川崎航星
井手しあん ニキ 鶴見紗綾 佐藤菜月 秋口響哉 大原光太郎
野沢美月 塩谷文都 楠 雅斗 甲斐萌夢 鈴木早映 佐藤真夕 奥野稚子
百鬼佑斗 湯浅フェリペ啓以知
宮﨑 将 山田真歩 寺十 吾 小梅 徳井 優 井浦 新 鈴木砂羽
原作:中沢けい 『楽隊のうさぎ』(新潮文庫刊) 監督:鈴木卓爾 エグゼクティヴプロデューサー:榎本雅之 企画・プロデュース:越川道夫 プロデューサー:小林三四郎 財前健一郎 多井久晃 アソシエイトプロデューサー:池谷道浩 松下克己 伊藤重樹 脚本:大石三知子 音楽監督:磯田健一郎 撮影:戸田義久 照明:山本浩資 美術:平井淳郎 録音:山本タカアキ ヘアメイク:橋本申二 特殊造形:百武 朋 編集:菊井貴繁 助監督:松尾 崇 張元香織 監督補:越川道夫 制作担当:大川哲史 アシスタントプロデューサー:神林理央子 制作:スローラーナー 企画協力:新潮社 配給:太秦 シネマ・シンジケート 浜松市民映画館シネマイーラ 後援:浜松市 浜松市教育委員会 浜松商工会議所 (公財)浜松市文化振興財団 静岡県映画興行協会 静岡ライオンズクラブ 特別協力:ヤマハ株式会社 特別協賛:ヤマハ株式会社 浜名梱包輸送株式会社 浜松信用金庫 遠州信用金庫 有限会社春華堂 コスタ株式会社 株式会社うなぎパイ本舗 日管株式会社 天方吹奏楽団 東海ビル管理株式会社 遠州鉄道株式会社 株式会社丸金 金銀 製作:『楽隊のうさぎ』製作委員会(株式会社浜松市民映画館 株式会社フルモテルモ 株式会社いまじん 株式会社静岡朝日テレビ 株式会社ワコー 太秦株式会社 静岡エフエム放送株式会社 中日新聞社 MOコーポレーション 株式会社富士コミュニケーションズ 高橋裕之 土田博和 松江勇武)助成:文化芸術振興費補助金
文部科学省選定(少年・青年・家庭向き)
(2013年/日本映画/HD作品/カラー/DCP5.1ch/16:9/1時間37分) (C)2013『楽隊のうさぎ』製作委員会
12/14(土)より 渋谷ユーロスペース、新宿武蔵野館、浜松シネマイーラ 他全国順次ロードショー


■イントロダクション
誰もが経験する夢中になれることに出会うとき、
そのかけがえのない日々の物語。
中沢けいの「楽隊のうさぎ」が待望の映画化!
中学生という多感な時期の伸び盛りの輝きを描き出し、新潮文庫の100冊に選ばれ、2010年センター試験に取り上げられるなど、幅広い世代に愛されている小説「楽隊のうさぎ」。小説のもつ生き生きとした登場人物たちの魅力をそのままに、音楽と向き合う中学生たちの姿を瑞々しく映しだす、愛おしい映画が誕生しました。
オーディションで選ばれた46人の子どもたち
それぞれの輝きがスクリーンを彩る
本作は吹奏楽が盛んな静岡県浜松市、音楽が生活のすぐ側にある、そんな場所から生まれました。主人公・克久をはじめ、吹奏楽部やクラスメイトの中学生キャスト全員がオーディションで選ばれ、そのほとんどが浜松在住の子どもたち。演技経験のある子もない子も、楽器の演奏ができる子もできない子も、みんなが一緒になって、オーディションから約1年をかけて練習に励み、小説の中の架空の吹奏楽部であった“花の木中吹奏楽部”を生み出しました。
中学生キャストの脇を固めるのは、吹奏楽部の顧問役に宮﨑将、主人公の父親役に井浦新、母親役に鈴木砂羽、そのほか、山田真歩、寺十吾、小梅、徳井優ら、日本映画を支えるキャストが揃いました。
監督を務めるのは『私は猫ストーカー』『ゲゲゲの女房』などで独自の世界観を生み出す鈴木卓爾。プロデューサー・越川道夫、撮影・戸田義久、編集・菊井貴繁ら、アカデミー賞外国語映画賞日本代表作品に選出された『かぞくのくに』の制作スタッフとともに本作に挑みました。
すべて子どもたち本人の演奏!!
1年間の成長が刻まれた演奏がスクリーンに響き渡る
劇中の吹奏楽の演奏は実際に撮影時に同時収録したそのままの音源。差し替え一切なしのみずみずしいパワー感に満ちたライヴ演奏です。音楽経験も様々な子どもたちが練習を重ねるなかで気持ちを通わせ、クライマックスの演奏シーンでは心を合わせてひとつの音楽を作り上げました。それは今の彼らにしかできない音楽。そのかけがえのない響きは、温かなエールとなって、あなたの心に届くことでしょう。
<花の木中吹奏楽部が取り組む楽曲たち♪>
♪スーザ 『星条旗よ永遠なれ』
♪ビゼー 『アルルの女 第2組曲より「ファランドール」』
♪ホルスト 『吹奏楽のための組曲 第一番 変ホ長調』
♪オリジナル新作 『序曲《Flowering TREE》』



■ストーリー
4月、中学校生活が始まる。学校にいる時間をなるべく短くしたいと考えている引っ込み思案の中学1年生・奥田克久(川崎航星)。克久の通う花の木中学校では、全員何かしらの部活に入ることが義務づけられていた。同じ小学校だった相田守(百鬼佑斗)にサッカー部に入ろうと誘われるが、気乗りしない。だが、克久はいつも上からものを言う相田に対して何も言い返すことができないでいる。昼休み、校庭から元気のいい演奏が響き渡ってきた。みんなが外に注目すると、「吹奏楽部、見学に来てくださーい!」。吹奏楽部の勧誘だ。
ある日、克久が廊下を歩いていると、目の前に奇妙なうさぎが現れた! 走り出したうさぎの後を追いかけると、たどり着いたのは音楽室。そこにはひとりでティンパニを演奏している藤尾園子(野沢美月)がいた。「こんなふうに叩いてみたい?」
「早く家に帰りたい」という思惑とは逆に、克久は学校で一番練習時間が長い吹奏楽部に入部することになった。それから、練習の毎日が始まった。克久のほかに入部した1年生は、パーカッションの小泉雅美(鶴見紗綾)と前川ニキ祥子(ニキ)、トロンボーンの山村澄夫(秋口響哉)と谷崎弓子(佐藤菜月)、フルートの田中朝子(井手しあん)。吹奏楽部の顧問は少し変わり者の森勉先生、通称勉ちゃんだ。朝から音だし、パート練習、セクション練習、合奏。今まで体験したことのない音楽の世界に戸惑いながらも、克久は次第にその面白さに夢中になっていく。
やがてコンクールが終わると、「君たちと勉ちゃんにしかできない音楽がきっとあるから」という言葉を残して、3年生は引退していく。2年目の春が訪れ、吹奏楽部にも新しいメンバーが入ってきた。定期演奏会に向けての本格的な練習が始まる。演奏するのは森勉先生のオリジナル曲「Flowering TREE」。克久のティンパニのソロから始まる。ひとりで演奏するのではない、吹奏楽のアンサンブルの難しさを痛感する日々。それでも一歩ずつ前へ、練習は続く。友だちとのいざこざや自分のなかの葛藤に迷い悩みながらも、ついに迎える定期演奏会当日。客席には両親、先輩たち、そして部活を辞めてしまった朝子の姿がある。静まり返るホール、張り詰める緊張感。そして、勉ちゃんのタクトが振りあがるー。
<短い紹介用ストーリー>
「授業が終わったら、早く家に帰りたい」と考えている引っ込み思案の中学1年生・奥田克久。克久が廊下を歩いていると、目の前に奇妙なうさぎが現れる。うさぎの後を追いかけると、たどり着いたのは音楽室。そこで目にしたティンパニの演奏に心を奪われ、当初の思惑とは反対に、克久は学校で練習時間が一番長い吹奏楽部に入部することになった。それから、朝から晩まで練習の日々が始まる。今まで体験したことのない音楽の世界に戸惑いながらも、その面白さに夢中になっていく克久。友達とのいざこざや自分のなかの葛藤に迷い悩みながらも、ついに定期演奏会の日がやってくるー。

【原作:「楽隊のうさぎ」について】
「楽隊のうさぎ」(中沢けい著・新潮文庫刊)
毎日がブラス!ブラス!!ブラス!!! 吹奏楽少年の成長物語「君、吹奏楽部に入らないか?」「エ、スイソウガク!?」――学校にいる時間をなるべく短くしたい、引っ込み思案の中学生・克久は、入学後、ブラスバンドに入部する。先輩や友人、教師に囲まれ、全国大会を目指す毎日。少年期の多感な時期に、戸惑いながらも音楽に夢中になる克久。やがて大会の日を迎え……。
忘れていませんか、伸び盛りの輝きを。親と子へエールを送る感動の物語。
中沢けいプロフィール1959(昭和34)年生れ。千葉県館山市に育ち、18歳の高校在学中に書いた「海を感じる時」で群像新人文学賞を受賞、単行本がベストセラーになる。1985年、『水平線上にて』で野間文芸新人賞を受賞。著書に『野ぶどうを摘む』『女ともだち』『豆畑の昼』『さくらささくれ』『楽隊のうさぎ』『うさぎとトランペット』など。
原作者 中沢けい氏のコメント
小説のスピリッツをこんなにも生かした映画映画が出来て、とても嬉しいです。
★浜松市発信『楽隊のうさぎ』映画化への歩み
本作は、静岡県浜松市の市民映画館シネマイーラが中心となり、町の人々の多大な協力のもとに完成しました。そこには、音楽を生活のすぐ側に感じる音楽のまち浜松から、いまを生きる子どもたちへのエールと願いが込められています。
映画化プロジェクトの目的
◆吹奏楽のメッカ、音楽のまち浜松を全国へ発信
「楽隊のうさぎ」は吹奏楽=音楽を通して子供の成長を描く映画です。吹奏楽が盛んな浜松、音楽のまちである浜松を映画という手法で全国へ発信します。
◆浜松市民の「音楽のまち」に対する再認識
一般市民を巻き込んで浜松で音楽をテーマにした映画をつくるということは、市民が「音楽のまち」を体感することであり、再確認することです。
◆映画製作という浜松文化の再創造
名匠木下惠介が生まれて2012年で100年。いま、浜松やその周辺からは映画製作に係わる若い才能が多く登場しています。今回のプロデューサー越川道夫氏をはじめ、映画監督の鈴木卓爾氏はその筆頭。そこに市民の映画への参加を併せて、映画製作という他地域に誇れる文化を創造します。
◆これからの子供たちへのエール
音楽を通して多感な子供たちの成長を描くことは、音楽の都をめざす浜松がこれからの未来を託す子供たちへの応援です。この映画を通して、子供たちに「いま」を生きていること、日々悩むことをも肯定して勇気と希望を伝えます。

■キャストプロフィール
花の木中学校吹奏楽部の子どもたち
オーディションで選ばれた、中学1年生から高校2年生までの総勢44名。
奥田克久役 川崎航星(13歳・静岡市在住)
「奥田克久という中学生を演じられたことが一番楽しかったです。最初、台本を見たときは楽しみもあったけれど不安のほうが大きかったです。でも、撮影が始まり、奥田克久という中学生を演じたとき楽しくてしょうがなくて、このような経験が出来て良かったなって感じています。」
前川ニキ祥子役 ニキ
「カメラに撮られるのはとても緊張しましたが、カメラがあるから台詞を言っているのではなく、その役としてそう思ったからしゃべる、行動する、という風に役になりきれるように頑張りました。」
小泉雅美役 鶴見紗綾
「私は合奏の練習時が一番楽しく、思い出に残っています。園子先輩が演奏面でアドバイスを下さったり、皆と話したり遊んだりして、とても充実した時間でした。この映画に出演することができ、その上最高の仲間とスタッフさん方にも出会えて、とても幸せでした。ありがとうございました!」
田中朝子役 井手しあん
「撮影期間中は夢のようにステキな時間を過ごすことができました。特に畑のシーンでは、克久を始めとする1年生6人が自分らしく演技することができて、まるで本当の同級生のようでした。このような素晴らしい経験をさせていただけたことに感謝しています。」
谷崎弓子役 佐藤菜月
「悔しくて泣くシーンが印象に残っている。演技経験もなく、カメラの前で泣くのは難しかった。でも、このシーンで自分なりの弓子になりきれた。演技って、楽しいな~と思った。」
山村澄夫役 秋口響哉
「思い出に残っていることー声が出ていないということで、校庭を走らされたこと。年齢・学年・住んでいる所が違うみんなと仲間になれたこと。個別の演技指導で朝から頑張ったけど撮影になったら台詞がほとんど無くなってしまっていたこと。監督から最後に、相変わらずかっこいいな!と言われたこと。」
森勉役(吹奏楽部顧問) 宮﨑将
1983年6月9日生まれ、東京都出身。
2001年、青山真治監督のカンヌ映画祭W受賞作『EUREKA ユリイカ』で、九州バスジャック事件で生き残った兄妹の兄・直樹役で主演し、鮮烈な映画デビューを飾る。その後、映画、テレビドラマなど数多くの作品に出演し、作品ごとに強い印象を残している。大森立嗣監督『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(10)では第25回高崎映画祭最優秀助演男優賞を受賞。鈴木卓爾監督作には『私は猫ストーカー』(09)、『ゲゲゲの女房』(10)に続く出演となり、作品に欠かせない存在となっている。そのほか近年の主演作に『NINIFUNI』(11)などがある。
うさぎ役 山田真歩
1981年9月29日生まれ、東京都出身。
出版社勤務を経て、2009年『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』で映画デビュー。主演を演じた『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)で話題を呼ぶ。近年の映画出演作に『モテキ』(11)、『アフロ田中』(12)、『レンタネコ』(12)、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(13)、『ばしゃ馬さんとビックマウス』(13)などがある。
柴田弘役 寺十吾
1992年劇団「tsumazuki no ishi」旗揚げ以降、作・演出・出演している。そのほか、外部舞台作品の演出や出演、映画・テレビ出演など多方面で活動している。近年の映画出演作には、『アヒルと鴨のコインロッカー』(06)、『ハッピーフライト』(08)、第25回東京国際映画祭の日本映画・ある視点部門に出品された『愛のゆくえ(仮)』などがある。鈴木卓爾監督作品は『私は猫ストーカー』(09)、『ゲゲゲの女房』(10)に続く3本目の出演。
小田康子役 小梅
1973年6月4日生まれ、東京都出身。
モデルとして広告・雑誌などで活動するほか、女優として映画・ドラマ・CMなどに出演。主な出演映画に『ざわざわ下北沢』(00)、『夢で逢えたら』(01)、『ご機嫌ななめ』(12)などがある。そのほか、TVドラマ「私立探偵 濱マイク」(NTV/02)、CM「キリン」「日清」、雑誌「クウネル」「天然生活」「リンネル」などで幅広く活躍している。
魚勝役 徳井優
1959年9月28日生まれ、大阪府出身。
「サカイ引越センター」のCMに出演し世間に広く知られる。俳優として多くの映画・ドラマ・舞台に出演し、数々の作品で名脇役として強い存在感を残している。主な出演作品に、映画『Shall we ダンス?』(96)、『がんばっていきまっしょい』(98)、『20世紀少年<第1章>』(08)、『孤高のメス』(10)、『天地明察』(12)、『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(13)ほか多数。鈴木卓爾監督作には『私は猫ストーカー』(09)、『ゲゲゲの女房』(10)に続く3作目の出演となる。
奥田久夫役(克久の父) 井浦新
1974年9月15日生まれ、東京都出身。
1998年、是枝裕和監督『ワンダフルライフ』に初主演。以降、映画を中心にドラマ、ナレーション、雑誌連載など幅広く活動。ヤン・ヨンヒ監督『かぞくのくに』(12)は第85回米国アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表に選出され、同作で第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。主演映画『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』が第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品され、同作で第22回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞。その他、近年の出演作に、『さよなら渓谷』(13)、『そして父になる』(13)、主演作に『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(13)などがある。
奥田百合子役(克久の母) 鈴木砂羽
1972年9月20日生まれ、静岡県浜松市出身。
1994年『愛の新世界』の主演で映画デビューを果たし、ブルーリボン新人賞、キネマ旬報新人賞など多数の映画賞を受賞。その後、多数の映画・テレビドラマ・舞台に出演し、幅広く活躍する演技派女優。主演映画『しあわせカモン』(13)では、薬物中毒に陥る母親という難しい役を熱演し高い評価を得る。近年の主な主演作は、映画『夢売るふたり』(12)、舞台「こどもの一生」(12)、大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(NHK/11)、「ビターシュガー」(NHK/11)「トッカン 特別国税徴収官」(NTV/12)、「おトメさん」(EX/13)、「夫のカノジョ」(TBS/13)などがある。

■STAFFプロフィール
監督:鈴木卓爾
1967年生まれ、静岡県磐田市出身。高校3年時、文化祭向けにアニメーション映画『街燈奇想の夜』(84)を8ミリ映画で制作。浜松の自主映画集団「シネマバリエテ」に参加後、自主映画を作り出す。8ミリ映画「にじ」がPFF88にて審査員特別賞を受賞。92年、東京造形大学の1年後輩にあたる矢口史靖監督のPFFスカラシップ作品「裸足のピクニック」に脚本と助監督で参加。これを機に、商業映画への道を模索する。94年、俳優としてVシネマ「夏の思い出~異常快楽殺人者~」(94/斎藤久志監督)に出演した後、『トキワ荘の青春』(95/市川準監督)で若き漫画家・藤子不二雄A役に抜擢され、俳優としても作業の場を見出す傍ら、NHK教育「さわやか3組」「中学生日記」「時々迷々」など脚本家としての仕事も評価を高める。浅生ハルミンの同名エッセイを原作とした初の長編監督作『私は猫ストーカー』(09)は、第31回ヨコハマ映画祭において新人監督賞、第19回日本プロフェッショナル大賞において作品賞と新人監督賞を受賞。漫画家水木しげるの妻・武良布枝が著した自伝を原作とした長編2作目『ゲゲゲの女房』(10)では第25回高崎映画祭最優秀監督賞を受賞した。
鈴木卓爾監督オフィシャルコメント
Q:静岡県出身の監督として、音楽の町・浜松を舞台に吹奏楽の映画を撮るということで、どのような気持ちでのぞみましたか?
10代の頃は映画を見るために浜松まで電車に乗って行っていました。音楽は小学校の頃からダメな方で、浜松はその頃の自分の記憶が重なる町です。吹奏楽が盛んな浜松を舞台に、今の時代を生きている中学生たちにも見てもらえるような映画を作りたいというのがモチベーションになりました。
Q:5月のオーディションから約1年を通して子供たちを見てきて、どのように感じますか?
内側も外側もものすごく成長しています。主人公の克久は身長が10~15センチくらい伸びていて、正直、画がつながるかどうか分かりません(笑)。
Q:演技が初めての子供たちをまとめるのに苦労した点はありますか?
もともと、13、14歳の中学生が主人公の物語だから撮りたいと思ったのですが、こんなに手ごわいとは思いませんでした(笑)。最初はできるだけ彼らの生の姿を撮りたいと思っていましたが、考えを改めました。「彼ら自身はどのような子たちなのだろう?」ということを考えて、そこに物語が寄っていった感じです。そのなかで、中沢けいさんの原作の精神をどう脚色して映画にしていくかということを考えました。
Q:この映画を通して伝えたいことは何ですか?
健気に生きる、ひたむきに生きるということが、映画のカメラが彼らの姿をちゃんと映せていて、皆さんに見てもらった時に、はね返って響いてくるはずだと思っています。小説のなかの架空の吹奏楽部を実際につくってしまったわけですが、そこで響く音楽は本物です。音に乗って響いてくる「彼らが今そこにいる」ということをただ見ていただきたい。
企画・プロデュース:越川道夫
1965年生まれ、静岡県浜松市出身。立教大学卒業後、助監督、劇場勤務、演劇活動を経て、映画配給会社シネマ・キャッツでヨーロッパ映画の宣伝配給に従事。97年にスローラーナーを設立。以後、配給宣伝、映画制作に関わる。主なプロデュース作品に青山真治監督『路地へ 中上健次の残したフィルム』(00)、市川準監督『トニー滝谷』(04/アソシエイトプロデューサー)、奥原浩志監督『青い車』(04)、足立正生監督『幽閉者』(06)、タナダユキ監督『赤い文化住宅の初子』(07)、『俺たちに明日はないッス』(08)、日向朝子監督『森崎書店の日々』(10)、熊切和嘉監督『海炭市叙景』(10)、『夏の終り』(12)、ヤン・ヨンヒ監督『かぞくのくに』(11)などがある。鈴木卓爾監督とは『私は猫ストーカー』『ゲゲゲの女房』に続く3度目のタッグとなる。
脚本:大石三知子 OISHI Michiko
1965年東京生まれ。東京芸術大学美術学部卒業後、会社勤務(すみだトリフォニーホール等)を経て、2005年東京芸術大学大学院修士課程映像研究科映画専攻脚本領域入学、田中陽造氏に師事。2007年同卒業。2008年映画『東南角部屋二階の女』(池田千尋監督)で脚本家デビュー。主な作品に、映画『ゲゲゲの女房』(鈴木卓爾監督/2010年)、映画『「わたし」の人生~我が命のタンゴ~』(和田秀樹監督/2012年)がある。映画『ライク・サムワン・イン・ラブ』(アッバス・キアロスタミ監督/2012年)では日本語台詞監修をつとめた。
音楽監督:磯田健一郎
1962年大阪生まれ。静岡県立浜松北高等学校を経て、東京農工大学獣医学科中退。音楽プロデューサーとして芸術祭賞受賞作『トーンプレロマス55 岩城宏之指揮/東京佼成ウインドオーケストラ』など数多くのアルバムを制作。映画の仕事としては中江裕司監督『ナビィの恋』(1999)、『ホテル・ハイビスカス』(2002)などが知られ、この二作により二度の毎日映画コンクール音楽賞を受賞。他に新藤風監督『転がれ!たま子』(2005)、草野陽花監督『ブラブラバンバン』(2007) 、中江裕司監督『恋しくて』(2007)、宮武由衣監督『JAZZ爺MEN』(2011)など。本作では音楽監督として作編曲、演奏指導、指揮のみならず、音楽シーンの演出監修などまで幅広い仕事をこなしている。
撮影:戸田義久 TODA Yoshihisa
1977生まれ。映画美学校在学中に撮影した映画「みち」がぴあフィルムフェスティバルで技術賞を受賞。是枝裕和監督作『誰も知らない』(04)、『花よりもなほ』(06)などの撮影助手を経て、06年に佐々木紳監督作『LIFE』でデビュー。映画撮影作品に若松孝二監督『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08/第58回ベルリン国際映画祭NETPAC賞、CICAE賞受賞)、『キャタピラー』(10/第60回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞)、西村晋也監督『君へ。』(11)、加藤章一監督『吉祥寺の朝日奈くん』(11)、梁英姫監督『かぞくのくに』(12/第62回ベルリン国際映画祭CICAE賞、ブルーリボン作品賞)、いまおかしんじ監督『集まった人たち』(13)、山下敦弘監督『the fighting men’s chronicle エレファントカシマシ劇場版』(13)等。PVに「乃木坂46」「マキタスポーツ」「エレファントカシマシ」(山下敦弘監督)、TVに『ラブスイング』(前田弘二監督)、『世界の車窓から』等がある。
【問合せ先】
配給担当(東京):太秦 小林
配給担当(ローカル):コミュニティシネマ 伊藤
宣伝担当:太秦 西川・矢澤
太秦株式会社
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