本愛好会は、歌舞伎座が3年に及ぶ改築工事であったのでしばらく休止していた。
新開場こけら落とし公演は去る3月からはじまっているが、このたびホームページで愛好会参加を呼びかけたところ、たちまち20名の定員に達した。
観劇は平成25年12月14日(奇しくも四十七士討ち入りの日)に仮名手本忠臣蔵 昼の部(松の間刃傷、城明渡し、道行)となった。
人気も高いため良い席を確保することは難しいが、関係筋のご協力で花道近くの役者に触れんばかりの素晴らしい席で、一同堪能することができた。
今回は恒例の観劇後のお茶会は省略し、幕間の時間に食堂で昼食会を行い終演後は流れ解散とした。
歌舞伎界は歌舞伎座休館中に、大看板の勘三郎、団十郎を失い、また人間国宝の雀右衛門・富十郎・芝翫が逝去し、さらには開場後も仁左衛門・福助・三津五郎・吉右衛門といった大物が病気療養となり、行く先を不安視する向きも多い。
この意味から今回の出来栄えを興味深く見たが、海老蔵、染五郎、七之助、菊之助等の次代を担う役者が大役を任され、幸四郎、玉三郎といった重鎮が抑えの役どころをつとめるなど、世代交代の不安を払拭する華麗な舞台に仕上がっていた。 とくに海老蔵は悪役の高師直で素晴らしい貫禄を示し、道行では誠にあでやかな玉三郎と舞う二枚目勘平の役を見事にこなすなど出色であった。
歌舞伎は、肉体を酷使する厳しい日常の訓練と、伝統に絶えず工夫を加えてゆくことにより成り立つ舞台芸術であり、日本の誇るべきこの宝が世界遺産登録に名乗りを上げてもいささかもおかしくない。
次回の愛好会はまたご案内するが、初めての方も目からうろこが落ちること必定なので是非ご参加願いたい。
歌舞伎愛好会