県人会情報

2014/03/03
オペラ愛好会報告 「オリィ伯爵」を鑑賞して

愛好会

 

藤原歌劇団創立80周年記念公演オペラ「オリィ伯爵」を鑑賞して

オペラ愛好会 世話人 平木章子


先日、2月2日(日)東京文化会館に於いて、藤原歌劇団80周年記念公演「オリィ伯爵」(ロッシーニ作曲)を鑑賞した。

藤原義江氏が創立したこの歌劇団の記念すべき公演に、指揮者としてデニス・ヴラセンコ氏、主演オリィ伯爵にはロッシーニ歌手として活躍中のアントニーノ・シラグーザ氏を迎え、ロッシーニが仏語で書いたこのオペラ、ブッファ(喜歌劇)に歌劇団をあげて取り組んだと聞いた。
そもそも芝居にしても、オペラにしても悲劇が圧倒的に多い。なぜなら、ドラマチックで刺激的で、人間の生死に関するものを題材にしているから・・・。それに比べ喜劇を作るということは、音楽のながれの楽しさ、軽妙さ、そして題材そのものにそれなりの面白い筋がなくてはならない。作曲家は楽しくするために軽快なテンポを用い、出演者、またはその声部の音域の限界に近い声と技巧を凝らし、出演者は音楽の流れにのった歌唱と演技が要求される。演出家にしても、各々の人物像を的確に捉え、込み入った筋をわかり易く伝えなければならない。

数年前にニューヨーク・メトロポリタンが来日した折にこの「オリィ伯爵」を上演したと聞いたが、イタリア・オペラを数多く手掛けている藤原歌劇団がこの「オリィ伯爵」というオペラ・ブッファをどのように観せてくれるのか。お手並み拝見!という思いで楽しみにしていた。
それがまた、思いがけないことに第5回静岡県浜松国際オペラコンクールで1位になり、私とも関わりのある光岡暁恵氏がオリィ伯爵の相手役に選ばれた。しかし、浜松のコンクール本選で満場一致の評価を得た時に歌った曲は、悲劇のアリアで死に至る直前のうた!果たして今回のオペラ・ブッファはできるのか!難しいのでは・・・と思いつつ・・・・


藤原歌劇団創立80周年記念公演オペラ「オリィ伯爵」

藤原歌劇団創立80周年記念公演オペラ「オリィ伯爵」

藤原歌劇団創立80周年記念公演オペラ「オリィ伯爵」

【2014年 藤原歌劇団公演「オリィ伯爵」】



公演日、驚いた!・・・「オリィ伯爵」の筋は他愛のないもの。フランスの好色な若い貴族オリィ伯爵は、ある城の伯爵の妹・アデールに恋をしている。伯爵はアデールに会いたい思いもあって8日前に城を出て、隠者として洞窟に住み村人の悩みの相談にのっている。しかし、目的はアデールなので村人達の相談が煩わしくなってくる。逃げ回る時に出る言葉「わかった!わかった!わかった!」のアドリブ!二幕目でもアデールの兄の領主が十字軍として出征し、妹のアデールが城を守る中、尼僧に化けたオリィ伯爵と側近、友人の14名が、男性入場禁止のこの城に一夜の宿を願う。嵐!しかも雷鳴轟く時とあってアデール以下、侍女達はあたたかくもてなす。その時に伯爵が仏語に混えて言う礼の言葉が「お・も・て・な・し!お・も・て・な・し!お・も・て・な・し!」一瞬、客席は大笑い!客席と舞台が一体となった瞬間!小さな笑いも随所にあって、これこそオペラ・ブッファの醍醐味!イタリア・ブッファはこうでなくちゃあ!

出演者は勿論のこと、スタッフも含め祝いの記念公演であることを意識し、言葉もいつも使っている伊語ではなく、数少ない仏語で書かれたこのオペラに挑戦し、皆んなで取り組んだ結果、ロッシーニ歌手と言われるシラグーザ氏が本領を発揮、出演者各々のうたの力量もなかなかのもの!心配していた光岡暁恵氏も、扇でオリィ伯爵をあしらうところなどチャーミングに演じ、大いに楽しめた!カーテンコールも長く続き、一緒に鑑賞した県人会会員の方々も楽しかった!と皆様、感想を述べておられた。


オペラ愛好会オペラ愛好会



次回は、どのようなオペラを観ていただこうかー! ご希望がざいましたらお知らせくださーい!

オペラ愛好会

 

 

お問い合わせ 03-3265-3933

 

一般社団法人 静岡県人会

〒102-0093
東京都千代田区平河町2-6-3
都道府県会館13階
静岡県東京事務所内
TEL:03-3265-3933
FAX:03-3265-3933