日本茶の伝道師 ブレケル オスカル Oscar Brekell
「静岡県茶業研究センター研修生 日本茶インストラクター」
今月は、スウェーデン出身のブレケル オスカルさんをご紹介します。
高校時代に母国で出会った日本茶に衝撃を受け、日本茶の専門家を志し来日。その日本茶に対する真摯な姿勢や、彼が発する美しい日本語は、日本人より日本人的!30歳の誕生日を迎えたばかりの彼の夢は、ヨーロッパに本物の日本茶を広めること。その可能性は無限大です。
以下、ブレケル氏から頂いたメッセージです。(本人自筆)
日本茶に惚れたのは高校時代の話ですが、付き合えば付き合うほど益々嵌って、気付いたら日本語の習得や日本茶インストラクター資格の取得などまで至りました。将来的に母国のスウェーデンだけでなく、ヨーロッパ全体にお茶を広めたいと考えております。そのためにはまず産地での徹底的な勉強が必要だと判断し、暫く静岡に身を寄せることにしました。
静岡に来てから、数多くの美味しいお茶との出会いは勿論、それ以外にも若い頃から憧れて来た美しい天空の茶園を訪ねたり、手摘みや手揉みなどに挑戦したりし、沢山の貴重な経験が出来ました。それに加えて、茶業研究センターでは製茶から畑の管理まで作業のメニューが豊富で、丁寧に教えて下さる研究員の方々のお陰でお茶に対しての理解を深めることが出来、大変充実した日々を過ごしております。
日本茶と出会ったお陰で私の人生は豊かになったように思いますが、自分ひとりで満喫するのが勿体無いので、より多くの方々にお茶の魅力を伝えるために最近国内外でセミナーなどを開き、様々なPR活動にも力を入れております。
日本の独特な蒸し製緑茶には沢山の魅力がありますが、一つの例として淹れ方によって味が変わることが挙げられます。熱めのお湯で淹れると渋いお茶を味わうことが出来ますし、冷水で淹れたら甘みとうまみが強調されたお茶になります。渋みと甘みが調和した状態のようなお茶が飲みたければ、ぬるめのお湯で淹れれば良いです。要するに同じお茶の葉を使っても、お好み又は気分によって味を調節することが出来ますが、よく考えるとこのような特徴を持っている飲み物はこの世の中に滅多にありません。言い換えると「日本茶ならでは」とも言えるのではないでしょうか。
それに留まらず、産地や品種などによって香りと味が変わるのも非常に魅力的です。例えば、花の香りがする「香駿(こうしゅん)」のような品種がありながら、新緑を思わせる「やぶきた」のようなバランスが取れた品種もあるように、日本茶は実にバリエーションに富んでいます。さらに付け加えれば、茶器や茶道など関連文化もいろいろあり、それらを味わってみると奥の深い世界が開き、生涯をかけても愉しみ尽くせないのが日本茶です。
これからも、その奥が深い日本茶の勉強のために全力を尽くし、静岡で学んだことを全世界に巧く伝えられますよう精進します。
ブレケル オスカル Oscar Brekell