「住宅設計の楽しみ:居心地の良い空間づくり」
大川建築都市設計研究所 代表
大川直治(おおかわ なおじ):建築家
わたくし、建築設計事務所を主宰していまして、やっています住宅設計が楽しいんです。
北海道大学建築工学科大学院を出て東京の10人程のアトリエ事務所に勤めた私は、志木ニュータウン、東京イースト21、鹿島KIビル、東急文化村オーチャードホール、洗足学園前田ホールなど数十億から数百億の大きな規模のプロジェクトを担当させていただきました。そこでは、建築が多くの人のチームで出来上がっている事を感じる事が出来ました。
バブルがはじけた1992年に当初の予定どおり独立!
独立後は7割位は住宅の設計です。
この住宅の設計がとても面白いのです。
個人住宅の設計は、学校や公共施設など不特定多数の人が使う施設と違い、一軒一軒そこに住む人と直接顔を合わせて住み手の暮らし方や生き方の姿勢に合わせてしつらえてゆく事が大切になってゆきます。居心地の良い住宅をしつらえるには、住み手の人柄や暮らし方を尊重する気持ちが大切です。
住宅の依頼があると、まず会って話をうかがった上で、事務所で用意したアンケートを書いてもらうんです。
そこには、具体的要望とともに、どんな風に日常を暮らしているか、好きな色は、持っている家具は、休みの日の過ごし方、来客の有無や好きな家事はなどいろいろ有るんですが、これを家族でワイワイいいながら書いてもらいます。要望のまとまりが付かないところは、それぞれの希望のまま書いてもらいます。これは家族内で「これから家を造るんだぞ」と言ったセレモニーでもありますし、普段考えている事の整理にもなるんです。家族だから分かっていると思うところが、意外に分かっていない事が多い事も、これに表れてくるんです。
アンケートを受け取ると私は、これを鵜呑みにする事はしません。「食洗器が欲しい」とか「子供部屋は6帖くらい」という具体的要望よりも、奥に潜む要望を感じ取ってその要望に応える、良い意味で期待を裏切る提案をしたいと思ってるんです。
家づくりは最初で最後の人がほとんどで、自分たちの希望をどうまとめたら良いか分からなくている人達も多いんです。また、希望を明確に持っている人ばかりではありません。そういった気持ちを引き出すのにアンケートは有効なんです。
建築家は、具体的な希望よりも、どのように生活したいか、どんな事が好きで、どんな事が楽しいと思っているのかなどの事を聞きたがっているものなんです。それを敷地・予算などの条件を基に、どのように料理して、居心地の良い自分たちらしい雰囲気の有る家を設計してゆく事が、設計者としての醍醐味であり、腕の見せ所です。
建築が終わって丹誠込めた住宅の引渡しの時は、自分の娘を嫁にやる様な気持ち(私の二人の娘はまだ嫁にやっていませんが、多分こうゆう気持ち)になります。
住んでゆくに従い、設計の各所に凝らした工夫が、「ああ、ここはこんな事だったんだ」と発見していってもらい、ニヤリと後ろでしたいと思うんです。
「住宅」は一応誰にも出来ますが、「住宅」ほど難しい建物はありません。
建築界には、『「建築」は「住宅」に始まり「住宅」に終わる』という言葉が有ります。人の生活、行動を大切にして設計してゆかなくてはならない。基本でもあり、本質でもある。という事でしょうか。
新築を作ったら最後ではなく、引き続きのメンテナンスから次世代・次次世代の間取りの変更までかかわり続ける、町医者の様な存在で有ろうとしています。
人に優しく品のある空間の設計を心がけています。
実は私、大学では、日本が成長過程に有りましたので、都市計画を専攻し,まちづくりにも関心を持ちました。事務所名の「都市設計研究所」はその表れで有ります。静岡のまちづくりのお手伝い出来たらと密かに思っています。
大川直治(おおかわ なおじ)・建築家
静岡市清水区生まれ、清水東高関東地区同窓会副会長、日本建築家協会登録建築家
大川建築都市設計研究所:
160-0023 東京都新宿区西新宿8-14-17-513
TEL:03-3362-8133
http://www.jcarb.com/Portfolio00002929.html