今回は、日本の宝飾品業界を長く牽引されてきた政木喜三郎様(伊東市出身)がご創業された東京貴宝株式会社様の紹介です。政木様は、昭和25年に単身上京され、その10年後に日本の宝飾品業界の中心地、御徒町で起業。「ダイヤモンドミュージアム」の設置、「東京ダイヤモンド取引所」の設立にも携わり、社団法人日本ジュエリー協会会長としてもご活躍されました。こうした功績が称えられ、平成21年春には旭日双光賞を受賞されておられます。政木様は伊東市民病院が建設される際には、自分を育んでくれた故郷への感謝の気持ちから数度にもわたって個人で多額のご寄付をされるなど、上京から66年が経った今でも故郷を大切にされている「静岡県人」です。
私は伊東市荻に生まれ、この11月に7回目の申年を迎えます。広い東京に出て商売を学びたいと、昭和25年4月に単身上京し、上野御徒町の宝飾品卸売業「長谷川商店」で先代社長に商売のノウハウを教えていただきました。まだ焼け野原が多く残っていた東京を背景に、今に続く私のビジネスがこうしてスタートしました。昭和30年、23歳の時に同じ職場で知り合った家内と結婚し、その数年後に独立。最初は家内と小さなお店から始め、昭和35年に現在の「東京貴宝株式会社」を設立しました。今年、創立58年目を迎えましたが、年を重ねるごとに故郷への思いは募るもので、創業50周年、55周年の祝賀会を地元伊東市の川奈ホテルで開催させていただきました。
会社を立ち上げた昭和35年当時は、ダイヤモンド、カラーストーンの輸入が自由化された年でもあり、追い風に乗って売り上げも順調に伸びて行きました。この自由化を大きなチャンスと考えた私は、当時の私としては一大決心をしました。自由化が始まったばかりでほとんどまだ手掛ける業者のいなかった香港からの「ヒスイ」の輸入事業を友人からの紹介で知り、始めたのです。これを機に、昭和37年に業界で初めての大規模な宝飾展を、上野風月堂を2日間借り切って実施したところ、お陰様で大好評を博しました。この経験が今の会社の大きな礎になっているものだと感じております。
平成10年には財務体質の強化を図るべく株式店頭公開を果たし、会社の拠点も自社ビルである「オーラムビル」に移し今日に至っております。当社は展示会販売がメインですので、海外も含め北海道から九州まで、年間数え切れない程の宝飾展を開催しております。中でも特に力を入れているのが、芝の東京プリンスホテル(現在改装中で平成29年4月に営業再開予定)で毎年7月初頭に開催している「東京ロイヤル会」です。全国のお客様に一度に多くの商品をご覧いただく機会を作りたいというのが「東京ロイヤル会」をスタートさせた昭和58年当時の目的でした。女優の夏樹陽子さんがプロデュースする「ルシオラ」をはじめ、「さくらダイヤモンド」「エクレブ」「アスプレンディ」「さよ子ジュエリー」など、自社ブランドが多数出展しています。次第に海外からのインポート商品や、梶光夫さんや他のジュエリーデザイナーの先生方も大勢参加してくださるようになり、回を重ねるごとに盛大さを増し、お陰様で今年34回目を迎えることができました。
お客様あってこその商売、本当にありがたいことだと感じております。
私共が扱っている宝飾品は決して生活必需品ではありませんが、単なる形としての美しさだけではなく、お客様の思いや歴史、物語が投影されて、その人の人生に潤いと心の癒しを与えてくれるものだと信じております。
今後もジュエリー総合商社としての役割を担いつつ、物質的な豊かさだけでは決して得られないお客様の夢や感動や癒しを求める心をジュエリーという形に表現して、より多くの皆様に提供し、ご満足していただけるよう努力して参ります。
東京貴宝株式会社
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