井伊氏のルーツは遠江にあり
270年もの長きにわたり続いた江戸時代。その礎を築いた徳川家康を支え続けた、徳川四天王の一人「井伊直政」。彼の養母であり、22代当主直盛の一人娘「直虎」。2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」は彼女がメインキャストです。
井伊氏のはじまりは、1010年平安時代中期、遠江井伊谷の井戸から誕生したとされる共保公を初代としています。井伊谷城を本拠として構え、この地方の領主として繁栄して行きました。南北朝時代には後醍醐天皇の第4皇子 宗良親王を井伊谷に迎え、南朝勢力として足利幕府に対抗していきました。戦国の世においては、今川氏の支配下で一族の男が次々と戦死・殺害される中、直虎は養母として幼い直政を守り育て、お家断絶の危機から救った一族再興を語るに欠かすことのできない人物です。
その直虎が眠る遠州の古刹「龍潭寺(りょうたんじ)」。奈良時代に開創された龍潭寺は、平安時代から井伊氏の菩提寺として共に歩んできました。歴代の領主の墓をはじめ、赤地に「井」の記が描かれた籏や拝領の品など、境内には井伊氏ゆかりの足跡を多く見ることができます。
小牧長久手の合戦や天下分かれ目の関ヶ原の戦いなど、打ち立てた数々の功績が認められ、直政は譜代最高禄高18万石の佐和山城主として近江の地に赴くことになります。直政は近江に移るとき、龍潭寺も分寺して菩提寺として彦根に建立しました。そして彼の死後は、その息子たちが居城を彦根城に移し、35万石の近江彦根藩主として井伊氏繁栄の基礎を築いていきます。その後も代々で江戸幕府を支え、要職を歴任していきます。彼らの子孫、井伊直弼が幕末の大老として日本の開国近代化のきっかけを作ったのは160年ほど前のこと。井伊氏の長い歴史を考えれば、そう遠い昔の話ではありません。
悠久なる「井の国」の歴史とともに、そして近江に移って以降も、井伊氏の起源と繁栄を1000年以上も見守り続けてきた龍潭寺。井伊氏を知る上で欠かすことのできない名所です。
是非、浜松にお越しの際は、是非遠江井伊谷と龍潭寺まで足をお運びください。
写真提供:浜松市・龍潭寺
龍潭寺(りょうたんじ)
静岡県浜松市北区引佐町井伊谷1989
TEL:053-542-0480(代)
FAX:053-542-0901