歌舞伎俳優
八代目 大谷友右衛門
ようやく春めいてまいりましたが、皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
120周年の際にも寄稿させて頂きましたが、私と静岡県人会みなさまとのお付き合いもずいぶん長くなりました。
毎年一度の歌舞伎座での観劇会をご企画頂いております。また、それを機に毎月ご観劇くださる方、また私ども後援会にご入会くださった方もいらっしゃいます。本当にありがたく感謝申し上げます。
歌舞伎は難しい・・・とお思いのかたも観劇会を機にぜひとも生の舞台を観て頂ければと存じます。
昨今は難しい古典の時代物ばかりでなく新作などの公演も増えています。
若い人たちのエネルギーを感じながら作品作りに参加いたしますと良い刺激となります。まだまだ息子達には負けていられないと励みにもなります。
そんなエネルギー溢れる舞台もぜひご覧頂きたいと思います。
今月3月は歌舞伎座にて亡父四世中村雀右衛門七回忌追善をさせて頂ける事となり、私は 昼の部「男女道成寺」にて口上を勤めております。
以前も申しましたが、父は生前「技術も大事だけども最後は心だよ」とよく申しておりました。晩年身体が思うように動かなくなった舞台にもその心が溢れているようでした。
それはただ、そのお役の心になりきるだけではなく、そのお役を愛する心、その舞台を愛する心、ご観劇くださるお客様への感謝の心、いろんな「心」の事だったように感じます。
息子達が舞台を勤めるようになり、この「心」を伝える難しさを感じると、父もこんな風にもどかしく感じていたのかと反省するばかりです。
3月の舞台も一層心を込めて勤めたいと存じます。
その息子達、廣太郎は同じく歌舞伎座で追善狂言に出演しております。
廣松は市川海老蔵さんの「源氏物語」の巡業で 頭中将を勤めておりますが、3月2日はアクトシティ浜松に伺います。
4月は新しくなった名古屋御園座の杮落し公演に廣太郎と出演致します。日頃お世話になっている高麗屋さんの襲名披露でもありますので楽しみにしています。そして6月博多座7月大阪松竹座、11月は京都南座、こちらも新装となった南座の杮落し公演へと続きます。
詳しいスケジュールや配役はぜひHPをご覧ください。
ついでに某マスクのCMに出ているヒノキの花粉は廣松ですのでご覧ください。
本年も忙しい年になりそうです。身を引き締めてこれからも心を込めた舞台を勤めて行きたいと思います。廣太郎・廣松もまだまだ修行半ばですが、ぜひご後援ください。
これを機に歌舞伎を観てみようかな。 と思っていただければ幸いです
どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。
八代目 大谷友右衛門
明石屋公式サイト: