特集

キラリ!静岡県人
2020/03/01掲載
(株)ピットカンパニー(株)武右エ門 :顧問「松本悟」(島田市)

 

(株)ピットカンパニー-顧問、(株)武右エ門-顧問「松本悟」(島田市)

(株)ピットカンパニー 顧問
(株)武右エ門 顧問
「松本悟」(島田市)



島田の生まれです。以前より「静岡県人は箱根の山を越えたがらない!」とよく言われていました。それだけ静岡は他県を目指さなくても仕事や生活に困らない?!という余裕があったという事かもしれません。(私自身はこの言葉は良しとしていませんでした)
高校の同級生で県外に出たのは私を含めて3名しかいなかったほどです。(笑)

私は子供の頃から玩具などを色々改造するのが好きで、将来は物作りをする仕事に就きたいと考えていました。
清水市(当時)にあった今井科学に入りプラモデルの設計の仕事に就きました。当時大ヒットしていた「サンダーバード」を記憶している人は多いかと思います。
「サンダーバード」「キャプテンスカーレット」「マイティ―ジャック」などキャラクター商品の設計を担当。しかし入社後2年で倒産。その後1970年に東京に本社を置くバンダイに入り玩具の企画と開発設計に携わりました。

元々私はリアル志向があり、ディティールにこだわって設計にあたりキャラクター商品であっても、そのシルエットや「かっこいい!」といわせる質感のある玩具を作ることを目指し「スケールキャラクター」という考え方を、その開発に生かしていきました。
その当時のTVキャラクター商品は決して私は満足するものではなく、「タミヤスタンダード」と言われた模型業界のトップの田宮模型以上を目指すのが目標となりました。同じく、バンダイグループのポピーが「仮面ライダー変身ベルト」や「マジンガーZ超合金」など、玩具としての常識を超えるヒットを連発していました。

そんな中で私の自動車や戦車などのスケール商品開発の経験を生かしてコレクション性を生かし、ディティール重視の「スケールキャラクター」としての設計ポリシーのもと「宇宙戦艦ヤマト」のシリーズをスタートさせビッグセールスを生みました。
しかしそれでも何かが足りないという思いは残りました。そこに映画「スターウォーズ」が公開され、世界観とリアルさは私にも強烈にインパクトを与えてくれました。



ガンプラ開発者が語るニュータイプ仕事術

「宇宙戦艦ヤマト」の次の企画を探っているときに「機動戦士ガンダム」が現れました。
当時TV放送のスポンサーは他社が関わっていたのですが、その設定とドラマのリアルさに注目し、版権元に対し粘りの交渉で商品化の権利を取得しました。

「ガンダム」の世界観を商品コンセプトに生かすべく企画と開発に集中し、その商品に初めて1/144という従来のキャラクター商品にはなかったスケールを導入しました。いわゆる「ガンプラ」の誕生でした。

「ガンプラ」はアニメと同時に大ヒット商品となりました。キャラクター商品は主人公だけあればいい、その他は売れない!という常識がありましたが、私は最初から、あえて全てのキャラクターを商品化するプランに加えて、アニメの「機動戦士ガンダム」の世界観を崩さないように進めていきました。その過程の中で、多色成型機を導入し他社にない独自の生産技術でより差別化。玩具の設計にいち早くCAD/CAMを取り入れ設計の効率化を主導しました。

その後も「SDガンダム」や「モビルスーツバリエーションMSV」の企画など、そのシリーズの展開を続け、「ガンプラ」も2020年には40周年目を迎えようとしています。
現在は、私の夢でもあった見学のできる工場「バンダイホビーセンター」として静岡市長沼に「ガンプラ」の生産拠点として完成し、更に拡大しようとしています。
常に私の開発には使命感を持って取り組んできました。
そのこだわりを持った開発の継続と技術の継承発展、基本であるリアリティーの再現とディティールの追求は、すべての仕事に生きています。

・こだわりを持ってとことん仕事に向き合い継続する事。
・世界観を重視したヒットさせる感覚。
・開発や投資のリスクのコスト意識。

アニメーション制作のサンライズでは、多くのアニメの企画制作にも関わってきましたが、現在も制作会社の顧問として、クリエイターの環境と世界の中での日本のアニメの方向性や、将来のあり方を模索しています。




<略歴>

氏名:松本悟

1948年島田市生まれ。
今井科学を経て、1970年にバンダイ入社。
玩具開発第一部長として男児玩具の開発、ホビー事業部長などを歴任し、「ガンプラ」の企画開発に関わり、「ガンプラ」はバンダイの売り上げの柱となった。その間、多くのアニメ作品に関わるキャラクター商品の企画開発事業を担当。

1994年アニメ制作のサンライズへ転籍し、専務取締役として各種アニメーションの企画制作に関わる。「ガンダムSEED」「ビッグO」「コードギアス」など多数。国内外のライセンス業務も担当し商品化権、著作権許諾の契約条件を改善。

サンライズ音楽出版社長の他、アニメ配信の先駆けのバンダイチャンネル代表取締役として2002年に立ち上げに参画。2009年バンダイビジュアル(現バンダイナムコアーツ)副社長を歴任し2012年役員退任。

その後、アニメの業界団体である日本動画協会の専務理事として、産官学の業務推進。
現在はゲーム開発の「ピットカンパニー」(www.pittcompany.com)顧問。
3DCGアニメ制作の「武右エ門」(www.buemon.com)顧問など。

<著書>
「俺たちのガンダムビジネス」(日本経済新聞出版)
「ガンプラ開発者が語るニュータイプ仕事術」(ディスカヴァートゥエンティ―ワン)
各種雑誌取材。セミナーや講演多数。

<好きな言葉>
「Not impossible! Only difficult!」(不可能じゃない!難しいだけだ!)

 

 

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