特集

温故知新
2014/09/01掲載
牧之原市 相良油田

 

太平洋岸で石油が採れたことをご存知でしたか?


牧之原市の相良油田をご紹介します


日本で使われる石油のほとんどを海外から輸入していますが、日本でもいくつかの油田があり、極わずかですが産出しています。(石油便覧:日本の石油生産量2007年98万キロリットル、国内石油消費量の0.4%)
日本の油田は新潟県、秋田県など日本海側に集中していますが、現在では北海道苫小牧でも採掘されております。かつては相良油田も活躍し、太平洋岸では唯一の油田でした。
また、相良油田の原油は世界的に希にみる良質で、ガソリンや灯油分を多く含んでいます。このため油井から汲み上げた原油は簡単にろ過しただけで、そのまま車や発動機などを動かすことができます。



相良油田①

昭和25年に開坑した深さ310mの機械掘りのやぐら

相良油田②

やぐらの直下にある油井坑で、ここから毎年5月に原油が汲み上げられる


相良油田は明治5(1872)年に発見されました。萩間川左岸の海老江(えびえ)(現在の牧之原市大江)で、ベトベトして臭い水が湧き出ていることを旧徳川幕臣の村上正局(まさちか)が聞き、原油であることをつきとめました。それを知った石油発掘の先駆者・石坂周造は、東京石油会社相良支社を設置、明治6年当地の周辺で手掘り採掘を始めました。同年米国製の綱掘(つなぼり)機が導入され、日本初の機械掘りに成功、手掘り井戸の深さ100~180mに対し、機械掘りは300m以上も採掘することが出来ました。



相良油田③

明治17年最盛期を迎えたが、当時林立した手掘り井戸の小屋

相良油田④

掘り井戸小屋(復元)、屋根も壁もスギ皮や茅で葺いた小屋で、井戸の 中に光を送るための天窓や空気の流れを良くするための開き窓がある


明治11年9月 大蔵卿・大隈重信が相良油田を視察・激励し、明治12年以降は幕末三舟の勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟(鉄舟の妻の兄)らが度々相良を訪れ、石油事業はいよいよ本格化し、明治17年には最盛期を迎えました。
最盛期は手掘り坑数240坑、年産出量720キロリットル(ドラム缶約3,600本)、産出額40,000円(当時)、従事者約600人でした。
相良の一大産業となった石油ですが、徐々に産出量が減り、昭和30(1955)年、約80年間続いた相良の石油事業に幕が降ろされたわけです。



相良油田⑤

手掘り井戸小屋の内部ジオラマ
井戸を掘り上げる作業と踏鞴(たたら)といって井戸の底に空気を送り込む「大型ふいご」の作業を再現している

相良油田⑥

毎年5月に汲み上げる相良油田の原油、キッチンペーパーでろ過するだけで使用できる赤褐色の透き通った原油

相良油田⑦

毎年5月の相良油田祭りで原油を汲み上げる様子、足元の油井から汲み上げた原油を隣のタンクに入れているところ


現在は、昭和25年開坑の深さ310mの機械掘り油井だけが残り、静岡県の天然記念物に指定され、経済産業省の近代化産業遺産にも指定されております。今でもその油井から石油が出ていて、年に一度5月の相良油田祭りに汲み上げ、バイクなどを動かして見せます。
相良油田の里公園には、油田資料館があり、相良油田の文化や先人の知恵と汗による偉業を知ることが出来ます。また公園内には今でも石油を汲み出すことが出来る機械掘りの油井と櫓をはじめ、復元した手掘り井戸の小屋が随所にあり、庭園には油の採れる植物が十数種類植えられております。




【 相良油田の里・油田資料館のご案内 】

お問合せ:(資料館) 静岡県牧之原市菅ヶ谷2525-1 Tel・Fax 0548-87-2525
(牧之原市役所) Tel 0548-53-2633 Fax 0548-52-3772
開館時間:午前9時~午後4時
休館日:火曜日と12月28日~1月3日
交通:車で東名相良牧之原インターより約15分



 



油田の里にお越しの際は、すぐ近くにあります遠州七不思議の一つ「子生れ石」と「子生れ温泉」にぜひお立ち寄りください。
子生れ石は牧之原市西萩間「大興寺」の裏山にあり、沢の壁面から「まゆ」や「ピーナツ」、「ひょうたん」のような石が生まれます。大興寺の和尚さんが亡くなられたときにこの石が壁面から産み落とされ、和尚さんの墓石になるのです。歴代の和尚さんの墓石も見ることができます。
そこには「子生れ温泉」があり、泉質はナトリウム(塩化物温泉)で、効能は神経痛、関節痛、冷え症、慢性婦人病、疲労回復健康増進と子宝に恵まれる温泉です。温泉湯のみを使用し、加水はしておりません。駿河湾の幸でお食事、ご宴会もできますので、旅の疲れを十分癒していただけるものと思います。



子生れ温泉


子生れ石

大興寺の裏山にある沢の壁から写真の石が生まれ出てくる。
遠州七不思議の一つ

相良油田の里

相良油田の里公園にある「相良油田資料館」


【 さがら子生れ温泉会館のご案内 】

静岡県牧之原市西萩間672-1 Tel 0548-54-1126 Fax 0548-54-1260


http://www.koumareonsen.jp


開館時間:午前10時~午後10時
休館日:第2火曜日と12月31日~1月1日(ただし3月・6月・9月・11月は第2火曜日から3日間、施設点検のため休館です)
利用料金:中学生以上550円/4時間(1日券1,000円)
3才~小学生300円/4時間(1日券600円)
幼児無料、身体障害者割引・団体割引あります。
交通:車で東名相良牧之原インターより約5分

注:本稿の作成に当たり、牧之原市及び相良油田資料館等の写真や資料を利用させて頂きました。

 

 

お問い合わせ 03-3265-3933

 

一般社団法人 静岡県人会

〒102-0093
東京都千代田区平河町2-6-3
都道府県会館13階
静岡県東京事務所内
TEL:03-3265-3933
FAX:03-3265-3933