太平洋岸で石油が採れたことをご存知でしたか?
牧之原市の相良油田をご紹介します
日本で使われる石油のほとんどを海外から輸入していますが、日本でもいくつかの油田があり、極わずかですが産出しています。(石油便覧:日本の石油生産量2007年98万キロリットル、国内石油消費量の0.4%)
日本の油田は新潟県、秋田県など日本海側に集中していますが、現在では北海道苫小牧でも採掘されております。かつては相良油田も活躍し、太平洋岸では唯一の油田でした。
また、相良油田の原油は世界的に希にみる良質で、ガソリンや灯油分を多く含んでいます。このため油井から汲み上げた原油は簡単にろ過しただけで、そのまま車や発動機などを動かすことができます。
相良油田は明治5(1872)年に発見されました。萩間川左岸の海老江(えびえ)(現在の牧之原市大江)で、ベトベトして臭い水が湧き出ていることを旧徳川幕臣の村上正局(まさちか)が聞き、原油であることをつきとめました。それを知った石油発掘の先駆者・石坂周造は、東京石油会社相良支社を設置、明治6年当地の周辺で手掘り採掘を始めました。同年米国製の綱掘(つなぼり)機が導入され、日本初の機械掘りに成功、手掘り井戸の深さ100~180mに対し、機械掘りは300m以上も採掘することが出来ました。
明治11年9月 大蔵卿・大隈重信が相良油田を視察・激励し、明治12年以降は幕末三舟の勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟(鉄舟の妻の兄)らが度々相良を訪れ、石油事業はいよいよ本格化し、明治17年には最盛期を迎えました。
最盛期は手掘り坑数240坑、年産出量720キロリットル(ドラム缶約3,600本)、産出額40,000円(当時)、従事者約600人でした。
相良の一大産業となった石油ですが、徐々に産出量が減り、昭和30(1955)年、約80年間続いた相良の石油事業に幕が降ろされたわけです。
現在は、昭和25年開坑の深さ310mの機械掘り油井だけが残り、静岡県の天然記念物に指定され、経済産業省の近代化産業遺産にも指定されております。今でもその油井から石油が出ていて、年に一度5月の相良油田祭りに汲み上げ、バイクなどを動かして見せます。
相良油田の里公園には、油田資料館があり、相良油田の文化や先人の知恵と汗による偉業を知ることが出来ます。また公園内には今でも石油を汲み出すことが出来る機械掘りの油井と櫓をはじめ、復元した手掘り井戸の小屋が随所にあり、庭園には油の採れる植物が十数種類植えられております。
【 相良油田の里・油田資料館のご案内 】
お問合せ:(資料館) 静岡県牧之原市菅ヶ谷2525-1 Tel・Fax 0548-87-2525
(牧之原市役所) Tel 0548-53-2633 Fax 0548-52-3772
開館時間:午前9時~午後4時
休館日:火曜日と12月28日~1月3日
交通:車で東名相良牧之原インターより約15分
油田の里にお越しの際は、すぐ近くにあります遠州七不思議の一つ「子生れ石」と「子生れ温泉」にぜひお立ち寄りください。
子生れ石は牧之原市西萩間「大興寺」の裏山にあり、沢の壁面から「まゆ」や「ピーナツ」、「ひょうたん」のような石が生まれます。大興寺の和尚さんが亡くなられたときにこの石が壁面から産み落とされ、和尚さんの墓石になるのです。歴代の和尚さんの墓石も見ることができます。
そこには「子生れ温泉」があり、泉質はナトリウム(塩化物温泉)で、効能は神経痛、関節痛、冷え症、慢性婦人病、疲労回復健康増進と子宝に恵まれる温泉です。温泉湯のみを使用し、加水はしておりません。駿河湾の幸でお食事、ご宴会もできますので、旅の疲れを十分癒していただけるものと思います。
【 さがら子生れ温泉会館のご案内 】
静岡県牧之原市西萩間672-1 Tel 0548-54-1126 Fax 0548-54-1260
開館時間:午前10時~午後10時
休館日:第2火曜日と12月31日~1月1日(ただし3月・6月・9月・11月は第2火曜日から3日間、施設点検のため休館です)
利用料金:中学生以上550円/4時間(1日券1,000円)
3才~小学生300円/4時間(1日券600円)
幼児無料、身体障害者割引・団体割引あります。
交通:車で東名相良牧之原インターより約5分
注:本稿の作成に当たり、牧之原市及び相良油田資料館等の写真や資料を利用させて頂きました。