茶師 前田文男(静岡市)
今回は全国初の利き茶最高段位十段取得者「茶師 前田文男氏」をご紹介します。
「茶師」とは、江戸時代からの伝統を受け継ぐ茶のプロフェッショナル。個性的な茶葉を選び、合組(ごうぐみ:混ぜ合わすこと)をし、極上の茶を生み出す・・・
お茶の世界では「前田文男ブランド」で通じる日本屈指の茶師です。
さらに前田氏は、茶師のなかでも日本一の利き茶名人と呼ばれています。
「利き茶」とは、茶葉の色艶や形状、水色(すいしょく:淹れた茶の色)、香り、そして味を確かめて、茶の品種や産地、品質を見極めること。
茶業界に身を置いてわずか2年で、全国茶審査技術競技大会の全国大会に出場。初出場にして7位に入り、六段位を取得し、茶業界で注目される存在となりました。彼の非凡な嗅覚と経験が生む集中力、目の確かさは冴えわたり、その後も昇段を重ね、利き茶師としての頭角を現していきました。そして、1997年に行われた競技会では、当時の規定最高段位九段を超える前人未到の成績を修めたため、急きょ委員会で協議の結果、新たに十段位が設けられたという伝説を持つのです。全国初の最高段位十段取得者はこうして誕生しました。
その活躍の様子は、NHK「プロフェッショナル」をはじめとしたテレビ番組や、新聞・雑誌などのメディアで数多く取り上げられています。前田氏が手がける極上のお茶は、JALファーストクラス、ミシュラン三ツ星・銀座「小十」、世界の主要都市に展開する「NOBU」など、名だたる日本料理店・レストランの多くで使用され、日本国内のみならず海外の日本茶ファンをも魅了しています。
2014年10月にはスイスで開催された「おいしいJAPAN」イベントに招かれ、大統領夫人はじめ多くのスイスの方々に日本茶の味を披露する大役を担いました。その美味しさは高く評価され、日本茶文化の伝承と国際交流に貢献しました。
こんな輝かしい経歴を持ちながら、口癖は「僕はまだまだです。お茶は難しいです。」と実に謙虚で、人にも物にも誠実に向かい合うまっすぐな心の持ち主。空手三段の爽やかなスポーツマンであり、ラガーシャツがトレードマーク。そんなお人柄だからこそ、茶師としての実力が磨かれ続けるのですね。前田氏のお茶に出会ったら「一葉入魂」の技と心意気を感じてみてください。
やまはち 株式会社 前田幸太郎商店
静岡市葵区北番町15
http://www.geocities.jp/yamahachi_cha/